病院・クリニックでのデジタルサイネージの効果とは？導入の価格目安や活用のポイントも紹介

病院やクリニックの待合室で、患者さんが不安そうに時計を眺めている…。そんな光景はありませんか？「待ち時間が長い」「診察がいつ始まるかわからない」「院内の案内が複雑」といった患者さんの不満は、スタッフの業務負担にも直結します。

これらの課題を解決する有効な手段として、デジタルサイネージの導入が急速に進んでいます。

この記事では、病院・クリニックがデジタルサイネージを導入する具体的なメリットや待合室・受付での活用事例、そして気になる導入の費用まで導入検討に必要な情報を解説します。

病院・クリニックにおけるデジタルサイネージとは？

デジタルサイネージとは院内の案内や診療情報をデジタルディスプレイで掲示するシステムのことです。受付や待合室、院内通路などに設置し、診療科の紹介や医師のプロフィール、検査や治療の流れ、院内ルールや感染対策の案内など紙ポスターでは伝わりにくい情報を分かりやすく表示できます。

デジタルサイネージは従来の掲示物と違い、情報を随時更新できる点が大きな特徴です。患者ニーズや季節ごとの病気への注意喚起、予防接種情報などをタイムリーに発信することで、院内コミュニケーションの向上につながります。

またアニメーションや動画を使った説明が可能なため、理解しやすく、視線が集まりやすいというメリットも。

最近では診療効率向上の観点から、受付番号呼び出しシステムや院内案内と連携するケースも増えています。業務負担を減らしながら、来院者の利便性と安心感を高めるツールとして医療機関で注目が高まっています。

病院にデジタルサイネージが選ばれる理由は？導入の4大効果

病院やクリニックにデジタルサイネージを導入する最大の目的は、患者・来訪者の体験の向上と院内業務の効率化にあります。

従来の紙掲示や口頭案内では伝えきれなかった情報を、視覚的・動的に届けられることで、院内全体の印象と運営精度を大きく変えることができます。

患者・来訪者の満足度向上

• 健康コラムや映像コンテンツの再生により、体感待ち時間が短縮される
• 診療科やフロア案内をデジタル化することで迷子を防止
• 清潔感・先進性を演出し、患者の信頼獲得につながる
  

デジタルサイネージは、受付や待合室、診察室前などで視覚的に分かりやすい情報提供ができるため、来院者の不安やストレスを軽減します。

診療案内や待ち時間、検査の流れ、健康情報をモニターに表示することで、「次に何をすれば良いか」が一目で分かり、安心して過ごせる環境を整えられます。

たとえば、総合病院では受付モニターに「本日の診療スケジュール」や「担当医師の変更情報」を自動更新で表示することで、受付窓口での問い合わせ件数を20％削減したケースもあります。

業務効率・運用の改善

• CMS（配信システム）から全画面に一括配信でき、診療時間変更などにも即対応
• 院内マップや科案内を常時表示し、問い合わせによるスタッフ対応を最小限に
• 誤情報や古い掲示物を防ぎ、常に最新情報を維持

医療機関では、日々の診療・検査・案内など多くの情報が発生します。

デジタルサイネージを導入することで、紙掲示物の貼り替え作業や口頭案内業務を自動化し、スタッフの負担を大幅に軽減できます。

結果として、案内業務や印刷コストが削減され、「人件費＋運営コストの最適化」が可能になります。
スタッフは本来の医療業務に集中でき、患者対応の質も自然と向上します。

院内コミュニケーションとブランド価値の強化

• 院内イベント・人事異動・感染症対策などを一括周知
• 各部署・拠点への情報配信をクラウドCMSで統一
• ロビーや廊下では、病院理念・取り組み・社会貢献活動などを発信

病院やクリニックの信頼性は、医療技術だけでなく「情報発信の透明性」にも左右されます。

デジタルサイネージは、スタッフや患者が同じ情報をリアルタイムで共有できる“院内コミュニケーション基盤”としても活用できます。

特に多拠点展開する医療グループでは、「本部から各院へ共通メッセージを配信」「各院独自の案内をローカル表示」といったハイブリッド配信運用が効果的です。

患者への安心感だけでなく、職員間の一体感醸成にもつながります。

院内広告・広報効果の最大化

• 院内広告配信：専門外来、健康診断、検査予約などの案内を動画で訴求する
• 地域連携PR：提携クリニック・薬局・介護施設などの紹介
• 付加価値コンテンツ：薬局や売店でのキャンペーン情報、地域イベント案内を掲出

病院内のデジタルサイネージは、単なる案内ツールにとどまらず、広報・マーケティングツールとしても機能します。

待合時間を利用して、医療サービスや専門外来の紹介、検診・予防接種の案内などを発信することで、患者の行動促進やリピート率向上にもつながります。

医療機関では広告表現に一定の制限（医療広告ガイドライン）がありますが、院内限定の情報発信であれば、サービス紹介や啓発活動に柔軟に活用可能です。

防災・緊急対応にも有効

• 緊急モード切替により、館内全体へ警報・避難情報を一斉配信
• スタッフ向けの緊急マニュアル・対応フローも即座に表示可能
• 音声と映像による視覚・聴覚両面からの伝達で、混乱を最小化におさえる

万が一の災害・火災・感染症発生時にも、デジタルサイネージは有効な情報伝達手段です。

緊急放送システムと連携すれば、避難経路・防災情報・停電時対応などを瞬時に表示できます。

このように、平常時からサイネージを活用しておくことで、非常時にも「命を守る情報基盤」として機能します。

病院・クリニックでのサイネージの活用シーンと導入事例

病院やクリニックでのデジタルサイネージは、設置場所によって果たす役割が大きく異なります。

受付や待合室だけでなく、診察室前・検査室・院内売店など、目的に応じて最適な活用が可能です。

ここでは代表的な5つの導入シーンを、実際の事例とともに紹介します。

受付・ロビー・待合室｜来院者の第一印象を高める

• 診療スケジュールや担当医変更などをリアルタイムで更新
• 健康啓発・予防医療・生活習慣病対策などの啓発映像を配信
• 院内イベント・健診キャンペーンの案内にも活用可能
• 明るい映像・静音設計で患者に安心感を与える

病院・クリニックの「顔」となる受付やロビーでは、サイネージをブランド演出＋情報案内の中核として設置するケースが増えています。

例えば受付ロビーに55インチモニターを3面設置し、診療案内と健康情報を交互に配信することで問い合わせ件数を削減することが期待できます。

フロア案内・｜迷わない院内動線を実現

• タッチパネル式で「行きたい診療科」「検査室」までのルートを自動表示
• 多言語対応で外国人患者にも対応
• 混雑状況を表示して、動線を分散・混雑緩和
• 災害・停電時には避難経路表示へ自動切替

大規模病院では、フロア構成や診療科が多く、初来院者が迷うケースが多発します。

デジタルサイネージを活用すれば、リアルタイムな案内と誘導表示が可能です。

入口とエレベーターホールに大型案内ディスプレイを設置することで、各科の診療状況とフロアマップを連携表示し、迷子件数を削減することができます。院内の案内業務も効率化され、スタッフ負担が大幅に軽減されるでしょう。

診察室前・検査室・リハビリフロア｜待ち時間の“体感短縮”を実現

• 診療待ち状況や受付番号をリアルタイムで表示
• 健康情報・生活習慣改善の動画配信で時間を有効活用
• 特殊検査や治療機器の紹介映像を流して理解を促す
• 受付呼び出しと連動した自動案内システムにも対応

診察室や検査室前では、患者の不安を和らげる情報と映像の提供が効果的です。

待ち時間を「学びの時間」「安心の時間」に変えるコンテンツ設計がポイントです。

例えば各診察室前に小型モニターを導入し診療番号・残り人数の表示と、健康豆知識の再生を同時運用することで、待ち時間を短く感じさせるといった工夫もできます。

売店・薬局・休憩スペース｜付加価値と利便性を高める

• 売店やカフェのメニュー・キャンペーンを表示
• 薬局前でジェネリック医薬品の案内やお薬相談の告知
• 医療機関全体の“地域密着イメージ”を発信できる
• 広告枠として外部企業とのコラボ運用も可能

院内売店や薬局前でも、デジタルサイネージは収益向上・回遊促進ツールとして機能します。

患者・付き添い者・スタッフなど多様な来訪者が利用する場所だからこそ、情報発信の効果が高いです。

多拠点クリニック・医療法人グループ｜本部一括管理とローカル運用の実施

• 本部から共通メッセージ・感染症対策情報を一斉配信
• 各院では診療スケジュールや地域イベントをローカル更新
• CMSログで拠点別の視聴率・稼働状況を可視化
• 拡張時も同システムでスムーズに拠点追加が可能

医療法人やグループクリニックでは、拠点間で統一された情報発信が重要です。

クラウド型CMSを使えば、本部から全国のサイネージを一括配信しつつ、各拠点で独自更新も可能です。

病院・クリニックでのサイネージ導入価格と費用相場

病院やクリニックにデジタルサイネージを導入する際の費用は、設置する場所・目的・台数・コンテンツ内容によって大きく変わります。

ここでは、導入時に必要な費用構成と価格相場、さらにコストを抑えつつ効果を高めるポイントを詳しく解説します。

デジタルサイネージ導入の費用構成

デジタルサイネージの費用は大きく以下の5つに分かれます。

費用項目	内容	目安価格（税抜）
ディスプレイ本体	業務用モニター（30インチ～80インチ）	8〜20万円／台
STB（メディアプレーヤー）	コンテンツ再生・配信端末	2〜5万円／台
CMS利用料	クラウド配信システムの月額費	3,000〜10,000円／月
設置・配線工事費	壁掛け・スタンド設置、電源・LAN工事など	3〜10万円／箇所
コンテンツ制作費	健康情報・動画・静止画など	5〜20万円／本

小規模クリニック（1〜2台）の場合、初期導入費用は20〜40万円前後、月額運用費は5,000〜1万円程度／台が一般的な相場です。

壁面・天吊り・スタンド式など設置環境により工事費は大きく変動しますが、高輝度・防塵タイプは価格が上がる傾向です。

また、CMSは「買い切り型」か「サブスク型」かを確認しましょう。医療機関は長期運用前提のため、耐久性・保守体制も比較検討するといいでしょう。

コストを抑える導入方法

「費用を抑えたい」「まず試験的に導入したい」場合は、レンタルプランやクラウドCMSの活用が効果的です。

導入形態	特徴	向いている施設
レンタル導入	機器＋CMSを月額で利用、初期費用を抑制	試験導入・新規開業クリニック
クラウドCMS運用	PCから簡単に配信・更新可能、メンテ不要	小〜中規模医院
スモールスタート導入	1〜2画面から始め、効果検証後に拡大	個人クリニック・法人新設部門
コンテンツテンプレート利用	健康情報・診療案内テンプレを活用し制作費削減	予防医療・健診センター

CMSとディスプレイをセットでレンタルすると初期費用を減らすことも可能です。

また、長期契約割引を利用して運用コストを安定化することもできるため、レンタルを行っている会社に相談してみましょう。

まとめ

病院・クリニックにおけるデジタルサイネージの導入は、単なるディスプレイ設置ではなく、情報伝達・来訪者体験・運営効率のすべてをアップデートする医療情報インフラです。

目的設計・運用体制・費用対効果を整理すれば、医療機関にとって非常に有効なツールとなります。
プロテラスでは、最小1面からの試験導入から全国展開まで、企業規模に合わせた最適プランを提案しています。
「まずは1面から試してみたい」「費用対効果を比較したい」という方は、ぜひご相談ください。