公開日:
サイネージのSTB(セットトップボックス)とは?種類や役割をわかりやすく紹介
デジタルサイネージやテレビの説明でよく出てくる「STB(セットトップボックス)」。
名前は聞いたことがあっても、「結局 STB とは何?」「サイネージでなぜ必要なの?」と疑問に感じる方も多いはずです。
STBとは、ディスプレイに動画・静止画・HTMLなどのコンテンツを 再生・制御・更新するための司令塔のような役割を持つ小型端末のこと。特にデジタルサイネージでは、複数拠点の画面を遠隔で一括管理したり、自動でコンテンツを切り替えたりするために欠かせない存在です。
本記事では、STBの意味・仕組み・種類から、デジタルサイネージにおける役割、選び方のポイントまで徹底解説します。
サイネージのSTB(セットトップボックス)とは?わかりやすく紹介

STB(セットトップボックス)とは、もともとテレビ放送を視聴するために使われてきた外付けの受信機で、基地局から送られてくる放送信号をテレビで表示できる映像信号へ変換する役割を持つ機器です。ブラウン管テレビの時代に、テレビの上に置く箱のSet Top Box(セットトップボックス)として普及したことから、この名称が使われるようになりました。
現在では用途が広がり、ケーブルテレビや衛星放送の受信に限らず、インターネット配信コンテンツや業務用映像の再生にも使われています。
特に近年は デジタルサイネージ向けのSTBとして活用が進んでおり、ディスプレイ単体では再生できない動画・静止画・HTMLコンテンツなどを安定して表示するための中心的な機器となっています。
サイネージ用STBの主な役割
サイネージにおけるSTBの役割は、テレビ向けのSTBと同じく「信号の変換」にとどまりません。サイネージの場合はさらに、次のような業務用機能を担います。
- 動画・静止画・HTMLコンテンツの再生処理
- 配信されたデータの管理やスケジュール制御
- 複数画面の同期再生や遠隔操作への対応
- 長時間の連続稼働に耐えるための安定性確保
例えば、飲食店のメニュー表示や商業施設のイベント告知、企業受付の情報配信など運用シーンごとに異なるコンテンツを正しく表示し続けるためには、ディスプレイだけでは不十分です。
これらの再生処理や更新作業を担うのがSTBです。
STBとテレビチューナーの違い
STBはテレビチューナーと混同されることがありますが、両者には明確な違いがあります。
チューナーは、地上波デジタル放送・衛星放送・ケーブルテレビなど、異なる方式の放送を受信するための受信機を指します。放送方式が異なれば必要となるチューナーもそれぞれ異なります。
一方、STBは受信機能を含む場合もありますが、主な役割は 「受信した信号を、画面に表示できる形式へ変換し、必要に応じて再生・制御すること」 にあります。つまり、チューナーが“受信専用機”であるのに対し、STBは再生・管理まで含めた機能を統合的に持つ機器といえます。
サイネージ用STBの場合は特に、放送受信ではなくコンテンツの再生・表示・更新に特化している点が大きな違いです。
デジタルサイネージにおけるSTBの機能

デジタルサイネージにおいて、STB(セットトップボックス)はコンテンツを正しく再生し、安定した運用を支えるための中核となる機器です。
単に動画を流す装置ではなく、表示内容の管理・更新・スケジュール制御・遠隔操作など、サイネージ全体の仕組みを動かす脳のような役割を担っています。
ここでは、サイネージ運用でSTBが果たす主な機能をわかりやすく解説します。
コンテンツの再生プレイヤーとして機能する
STBの基本となる役割は、ディスプレイに表示するコンテンツを再生することです。
動画(MP4)、静止画(JPG/PNG)、テキスト、HTML、テロップ表示など多様なフォーマットに対応しており、機種によっては4K動画の再生や縦画面表示にも対応しています。
ディスプレイ単体では扱えない形式も、STBを介することで安定して再生できるようになります。
スケジュール配信・時間帯ごとの表示切り替えを管理する
サイネージでは「時間帯」「曜日」「期間」に応じて異なる内容を表示するケースが一般的です。
STBは、これらのスケジュール設定に基づいて表示内容を自動で切り替える機能を持ちます。たとえば、飲食店なら朝・昼・夜で異なるメニューを表示し、商業施設なら曜日別キャンペーンを自動で切り替えるといった運用が可能です。
期間限定プロモーションも一度設定しておけば、自動的に反映・終了できるため、運用の手間を大幅に削減できます。
店舗・拠点をまたいだ遠隔管理を可能にする
複数店舗を運営している企業では、各店舗のサイネージを統一した内容で運用したい場面が多くあります。
ネットワーク型STBを導入すれば、クラウドを通じて全国の画面を一括で更新でき、USBメモリを店舗ごとに差し替えるといった作業が不要になります。
更新漏れや表示ミスが起こりにくくなり、ブランドイメージの統一やキャンペーン反映のスピード向上にもつながります。
電源管理・自動起動など無人運用を支える機能
STBは、コンテンツ再生だけでなく機器の運転そのものも自動化できます。
営業時間に合わせてサイネージを自動で起動・停止したり、夜間に自動でスリープ状態にしたりすることで、省エネと運用効率化を実現します。
保守・管理担当者の工数も削減でき、長時間稼働が求められるサイネージ運用において非常に重要な機能です。
STBの種類
デジタルサイネージ用のSTB(セットトップボックス)は、搭載しているOSによって性能や対応コンテンツ、運用のしやすさが大きく変わります。
現在主流となっているのは Windows OS を搭載したWindows STBと、Android OSを搭載したAndroid STBの2種類です。ここでは、それぞれの特徴や適した用途をわかりやすく解説します。
Windows STB|処理性能が高く、複雑な表示やインタラクティブ用途に強い


【Windows STBが適したシーン】
- タッチパネルを使った案内・検索サイネージ
- 外部システム(POS、在庫、施設管理システム等)との連携
- 高精細4K動画や動きの多いアニメーション
- 商業施設・企業受付など高機能サイネージ
Windows STBは、Windows OS を搭載した高性能タイプのSTBです。パソコンに近い処理能力を備えているため、負荷の高いコンテンツや複雑な表示制御が求められるシーンで力を発揮します。
たとえば、タッチパネル型のインタラクティブサイネージ、動きの多い4K動画、外部システムと連携した業務系アプリの表示など、一般的なSTBでは対応しにくい高度な要件にも柔軟に対応できます。また、Windows環境に慣れた企業であれば、運用や管理もしやすいというメリットがあります。
一方で、コストはAndroid STBに比べて高くなる傾向があります。高負荷の表示やシステム連携が必要かどうかを基準に、導入を検討すると良いでしょう。
Android STB|コストを抑えつつ、店舗・施設のサイネージに幅広く対応


【Android STBが適したシーン】
- 飲食店のメニュー表示・キャンペーン告知
- 小売店のPOP・商品紹介サイネージ
- オフィス・公共施設の案内表示
- 全国チェーンの一括導入
Android STBは、Android OS を搭載したスタンダードなSTBで、コストを抑えながら必要な機能を十分に備えているタイプです。軽量で起動が速く、動画や静止画、HTMLコンテンツなど一般的なサイネージ運用に必要な性能を備えています。
アプリによる機能拡張がしやすい点も特徴で、多くのCMS(配信管理システム)と連携しやすいため、店舗サイネージや企業の情報掲示、公共機関の案内表示など、さまざまな用途で広く採用されています。コストパフォーマンスに優れているため、複数拠点への大量導入にも向いています。
ただし、Windows STBほどの処理性能はないため、インタラクティブ用途や重いアニメーション表示など高度な要件には不向きなケースもあります。
STBの選び方

デジタルサイネージのSTBは、性能や機能が機種によって大きく異なります。
表示するコンテンツの種類や運用環境に合わないSTBを選んでしまうと画面が固まったり、動作が重くなったり、更新作業が複雑になるなど、運用トラブルの原因となることがあります。
ここでは、初めてSTBを導入する方でも迷わないように、選定時に必ず押さえておきたいポイントを解説します。
表示するコンテンツに合わせて性能(スペック)を選ぶ
表示したいコンテンツの種類によって必要なスペックは大きく変わります。
静止画やテロップ中心であれば低スペック機でも運用できますが、飲食店や小売で使われる動画広告、4K映像、動きの多いアニメーションは処理負荷が高く、高性能CPUや十分なメモリを備えたSTBが必要です。
動画・テロップ・静止画を同時に表示するレイアウトでも負荷が上がるため、事前にどの程度の表示を行うのかを明確にして選ぶことが重要です。
更新方法で選ぶ
更新頻度や店舗数に応じて、USBで更新するスタンドアロン型か、クラウドで一括更新できるネットワーク型を選びます。
更新頻度が低い1〜2台の運用なら前者で十分ですが、複数店舗の統一管理や緊急告知などを行う場合はネットワーク型が必須です。
更新工数を削減し、運用ミスを防ぎたい場合もネットワーク型が適しています。
OSで選ぶ
Windows STBは処理性能が高く、4K動画やインタラクティブサイネージ、外部システム連携など負荷の大きい用途に最適です。
Android STBは軽量でコストが抑えやすく、一般的なサイネージや大量設置に向いています。
コンテンツの複雑さ・導入規模・予算によって最適なOSを選ぶことが安定運用につながります。
設置場所・環境で選ぶ
設置環境によってSTBに必要な条件は変わります。屋外や高温多湿の場所では、耐熱性や放熱性能の高いモデルが必須です。
スペースが限られる場合は小型モデル、配線が難しい場所ではWi-FiやSIM対応モデルが便利です。
ネットワークが不安定な環境では、クラウドとUSBどちらでも更新できる柔軟な機種を選ぶと安心でしょう。
まとめ|目的に合ったSTB選びでサイネージの効果は大きく変わる
STBは、表示するコンテンツの種類、更新方法、OS、設置環境によって選ぶべき機種が大きく変わります。必要な性能が不足しているとフリーズや表示乱れが起きやすく、逆に過剰スペックを選んでしまうとコストが無駄になってしまいます。
サイネージの効果を最大化するには、「どんな場所で、どんなコンテンツを、どのように運用したいのか」 を整理し、目的に合ったSTBを選定することが欠かせません。
プロテラスでは、
- 設置場所の調査
- 必要スペックの診断
- Windows/Androidの選定
- ネットワーク構成の設計
- 導入後の更新サポート(CMS・運用支援)
まで、サイネージの導入をトータルでサポートしています。
「どのSTBを選べばいいかわからない」
「4K動画を安定再生したい」
「複数店舗をクラウドで一括管理したい」
など、相談可能。デジタルサイネージに関するどんなお悩みでもお気軽にお問合せください。
Android
HTML
SiG
STB
Webコンテンツ
Windows
クラウド
デジタルサイネージ
動画
静止画